呼吸器の身体障害者福祉制度

身体障害者手帳は,身体障害者福祉法(昭和24年)で定められた障害の程度に応じて交付されます。

呼吸器に関する身体障害者診断書・意見書の作成には,自覚症状以外に胸部レントゲン所見,呼吸機能検査所見,動脈血液ガス分析所見の記載が必要となります。

身体障害の等級

呼吸器に関する身体障害の等級としては1級,3級,4級の3つで,身体障害者福祉法施行規則(昭和25年4月6日厚生省令第15号)おいて下記のように定められています。

級別障害の程度
1級呼吸器の機能の障害により自己の身辺の日常生活が極度に制限されるもの
2級×
3級呼吸器の機能の障害により家庭内での日常生活が著しく制限されるもの
4級呼吸器の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの

障害等級の決め方

用語の説明

◇予測肺活量

正常体であれば当然あると予測できる肺活量

〔計算式〕

  • 男・・(27.63-0.112×年齢)×身長(cm)
  • 女・・(21.78-0.101×年齢)×身長(cm)

(例)60歳,170cm 男性の場合

(27.63-0.112×60)×170=3554.7 cc

◇1秒量

肺機能検査で測る最初の1秒間に吐き出す空気の量

(例)1秒量を600 ccとする。

◇指数

(=予測肺活量1秒率)=1秒量÷予測肺活量×100

(例)600÷3554.7×100=16.9

◇動脈血酸素分圧

医師が腕から注射器で動脈血を採血して調べた酸素の分圧
・・torr(トール)で表す。

等級別認定基準

具体的な認定基準については身体障害者障害程度等級表について(昭和59年9月28日厚生省社会局社更第127号)において記述されており,その内容は以下の通りです。

1級呼吸困難が強いため歩行もほとんどできないもの
呼吸障害のため指数の測定ができないもの
指数が20以下のもの
動脈血酸素分圧が50トール以下のもの
3級指数が20を超え30以下のもの
動脈血酸素分圧が50トールを超え60トール以下のもの
又はこれに準ずるもの
4級指数が30を超え40以下のもの
動脈血酸素分圧が60トールを超え70トール以下のもの
又はこれに準ずるもの

身体障害者認定で受けられるサービス

以下のものがありますが,自治体によって微妙に異なっていたり,等級により適用されないものがありますので,詳細はお住まいの市町村の福祉課にお問い合わせください。

  • JR運賃割引
  • 航空運賃割引
  • 有料道路割引
  • バス,タクシー料金割引
  • 所得税,住民税の減免
  • 自動車税,自動車取得税の減免
  • 障害者施設の利用や,公共施設の入場料,映画館の割引
  • 携帯電話の基本料金の割引

申請方法

(1)まず,主治医に障害が申請の基準に達しているかを聞きます。
(2)「達している」ということであれば,市町村の福祉課で申請に必要な書類をもらいます。
(3)指定医師(注)に診断書,意見書を作成してもらいます。
(指定医師の名簿は福祉課にあります)
(4)書類を提出します。
(5)都道府県の福祉審議会で審議されます。
(6)申請が受理されると,障害者手帳が交付されます。(申請からほぼ1ヶ月)

(注)指定医師とは
身体障害者診断書・意見書は,指定医師の作成したものでなければ身体障害者手帳認定上の効力はありません。